第30回 あマ指師、はり師きゅう師の国家試験から医療概論の問題を抜粋して、解答と解説を博士が行なっていきます。
ぜひ一緒に確認していきましょう!
あマ指師 問題から
問題1 公費負担医療で、公衆衛生を目的とするのはどれか
[aside type=”boader”]
- 結核医療
- 養育医療
- 医療扶助
- 特定難病の医療費助成[/aside]
博士の解説
解答の鍵は「公衆衛生」の理解。
公費負担医療制度とは、医療費の全部または一部を国や地方自治体が負担する制度であり、感染症や精神障害、難病などの患者、生活困窮者などの社会的弱者、公害などにより健康被害を受けた人などが対象となります。
公衆衛生とは、地域社会のすべての人々の健康を保持・増進するために、感染症管理や教育、予防治療、早期治療などを行うことです。
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]選択肢のすべてが公費負担医療に該当しているので、公衆衛生に該当する感染症管理である「①結核医療」が正答となります。[/voice]
問題2 施術者の倫理として問題を含む行為はどれか
[aside type=”boader”]
- 情報提供と説明を行う
- 援助者としての立場をとる
- 患者の要求に従う
- 守秘義務を守る[/aside]
博士の解説
「情報提供」という語句と「患者の要求」という語句で迷うかも知れません。
施術者は、援助者としての立場で、必要な医療情報や知識を提供し、説明の後、同意を得て、最適と判断した施術を行います。
また、施術者には守秘義務があり、施術者はそれを守らなければなりません。
しかし、患者の要求に必ず従う必要はなく、むしろ不必要な施術や不適切な施術を要求された時には、倫理的観点から不必要・不適切であることをしっかりと説明する(情報提供する)ことも大事です。
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]「③患者の要求に従う」が正答となります。[/voice]
問題3 我が国の医療従事者で最も数が多いのはどれか
[aside type=”boader”]
- 医師
- 薬剤師
- 看護師
- あん摩マッサージ指圧師[/aside]
博士の解説
数字に関する暗記問題ですが、想像から正答できるかも知れません。
平成30年版の厚生労働白書によると、その数は医師が304,759人、薬剤師が230,186人、看護師が1,210,665人、あん摩マッサージ指圧師が116,280人となっています。
また、2021年に実施された各国家試験の合格者数は医師が9,058人、薬剤師が9,634人、看護師が59,769人、あん摩マッサージ指圧師が1,089人でした。
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]看護師の数が群を抜いて多く、年を経るごとに顕著になっていくと予想されます。「③看護師」が正答となります。[/voice]
問題4 介護保険制度について正しいのはどれか
[aside type=”boader”]
- 保険者は都道府県である
- 被保険者は60歳以上である
- 要介護認定は保健所に申請する
- 利用者はケアプランを作成できる[/aside]
博士の解説
消去法で考えましょう。
介護保険制度における保険者は市区町村なので選択肢①は誤り。
被保険者は40歳以上なので選択肢③は誤り。
介護保険の保険者は市区町村であり、申請は市区町村の窓口(市役所など)で行うので選択肢③も誤り。
ケアプランはケアマネージャーが作成するのが一般的ですが、利用者やその家族が作成することもできます。
また、ケアマネージャーがケアプランを作成するために利用者および家族へのヒアリングは必須であり、利用者の希望に沿って現状を踏まえたケアプランが作成されます。
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]「④利用者はケアプランを作成できる」が正答となります。[/voice]
はり師きゅう師 問題から
問題1 介護保険制度の保険者はどれか
[aside type=”boader”]
- 国
- 都道府県
- 市町村
- 介護施設[/aside]
博士の解説
介護保険制度は市区町村が運営しており、国民は40歳になると介護保険に加入し、介護保険料を支払っていきます。
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]運営者である市区町村を保険者と呼び、40歳以上の国民を被保険者と呼びます。
正答は「③市町村」[/voice]
被保険者のうち、65歳以上の人は「第1号被保険者」に区分され、保険者が実施する要介護認定において介護が必要と認定されると介護サービスを受けることができます。40~64歳までの人は「第2号被保険者」に区分され、特定疾病により介護が必要と認定された場合、介護サービスを受けることができます。
なお、介護サービスを利用する際のケアプランを作成するのはケアマネージャーが一般的であり、ケアマネージャーの認定は都道府県が行っています。
問題2 我が国の国民医療費に含まれるのはどれか
[aside type=”boader”]
- 正常分娩の費用
- 訪問看護の療養費用
- 入院時室料差額の費用
- 予防接種の費用[/aside]
博士の解説
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]
国民医療費とは、医療機関等における保険診療の対象となり得る疾病の治療に要した費用を言います。
選択肢の中では「②訪問看護の療養費用」が該当します。[/voice]
国民医療費は傷病の治療費に限っているため、正常分娩の費用や予防接種の費用は含みません。同じく、選定療養に要した費用である入院時室料差額費も国民医療費に含みません。
問題3 被用者保険でないのはどれか
[aside type=”boader”]
- 船員保険
- 共済組合
- 協会けんぽ
- 国民健康保険[/aside]
博士の解説
公的医療保険は健康保険と国民健康保険の2つに分けられ、健康保険は被用者保険とも呼ばれます。
国民健康保険は、主に個人事業主や短時間労働のため健康保険に加入できない人が加入します。
被用者保険には雇用されている人が加入します。
[aside]船員保険:船舶所有者に使用される者を対象としている被用者保険。
共済組合:公務員および私立学校教職員を対象とした被用者保険。
協会けんぽ:全国健康保険協会の別称。被用者保険。[/aside]
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]したがって、選択肢①~③は被用者保険であり、正答は「④国民健康保険」となります。[/voice]
問題4 患者が「よろしくお願いします」と言い、医療従事者が「お任せください」と言う会話から考えられる両者の関係はどれか
[aside type=”boader”]
- パターナリズム
- セカンドオピニオン
- インフォームド・アセント
- インフォームド・コンセント[/aside]
博士の解説
カタカナ語の暗記問題。
選択肢④のインフォームド・コンセントが「説明と同意」であることは、あはき師を目指す者にとってはもはや常識でしょう。
選択肢②のセカンドオピニオンという言葉は広く一般の人にも知られるようになりました。担当医以外の違う医療機関の医師に「第2の意見」をもらうことです。
選択肢③のインフォームド・アセントは聞きなれない言葉かも知れませんが、「小児を対象としたインフォームド・コンセント」と言い換えれば分かりやすいかも知れません。言葉づかいを工夫するなどして、子どもの理解度に応じた説明をします。
選択肢①のパターナリズムは「父権主義」と呼ばれるもので一方向性に意思決定されます。
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]設問では、医学的知識に乏しい弱い立場の患者に対し、権威性のある強い立場の医療従事者の一存で治療方針が決定する様子が読み取れます。
正答は「①パターナリズム」となります。[/voice]
博士の総評
医療概論の出題は4問なので2点は取っておきたいですね。
しっかりと勉強できていれば4点満点も取れます。
押さえておくべき内容として以下の3つを挙げます。
[aside type=”boader”]
- 公費負担医療や国民医療費、公的医療保険などの我が国における医療制度の理解
- 介護保険、地域包括ケアシステムの理解
- 医の倫理や健康の概念、予防医学に関する理解とカタカナ語の暗記[/aside]
特に介護保険に関しては、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師に続いて、鍼灸師も機能訓練指導員になれるように資格要件が緩和されました。
[voice icon=”https://jpn-asp.com/wp-content/uploads/2022/02/S__19390473-removebg-preview-e1645917274821.png” name=”竹田博士” type=”l”]地域包括ケアシステムの一員として「あはき師」の活躍が予想されます。この領域の知識は深めておきましょう。
ご質問などはぜひコメント欄からお願い致します![/voice]