鍼灸師の「ASP-Needle」使用についての見解
過去に当協会理事の松浦がASP-Needleを使用して施術をしている事に対して、傷害罪及び医師法違反の疑いがあるとの疑義を問われた事があり、松浦が弁護士に見解を求め意見書を得た経緯があります。
この意見書を元に、当協会では、日本国内に於いて”はり師”が”ASP-Needle”を使用して施術する事は”適法”だと判断してASPセラピーの普及活動を行っております。
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意 見 書
令和元年6月10日
松浦 哲也 様
弁護士 三浦 美佳子
貴殿からいただきましたご質問に対し,以下のとおり回答いたします。ただし,当職において「battlefield acupuncture」の具体的内容等を正確に把握できているかは確信が持てませんので,その点はご承知置きください。
1 医薬品医療機器等法との関係について
貴殿からのご質問は,「元来、医薬品医療機器等法は、医療機器の安全な利用と正規の医療機器の国家による統制を目的に作られていると考えられるため、海外からの輸入医療機器という扱いになれば、この統制の部分に引っかかることになる可能性があり、行政指導を受ける可能性があるのではないか。」というものです。
まず,医薬品医療機器等法の第1条は,本法の目的に関する規定ですが,一言で要約しますと「保健衛生の向上を図る」と明記されており,「正規の医療機器の国家による統制」という文言は見られません(もっとも,正規の医療機器を国家によって統制することにより保健衛生の向上を図るということはいえるかもしれません)。
したがって,海外からの輸入医療機器という扱いになったからといって,直ちに医薬品医療機器等法に反するとはいえません。少なくとも,現在,厚生労働省が認める要件を遵守して,医療従事者が医薬品等を個人輸入する場合は,適法であると考えられます。
また,「海外から「もの」だけ輸入し、特に医療機器という扱いで使用している場合でも、上記の問題が生じる可能性があるのではないか。」(文脈から「使用していない」の誤記ではないかと思われます)とのご質問に対しても,結局,上記と同様に,厚生労働省が認める要件を遵守して,医療従事者が医薬品等を個人輸入する場合は,適法であると考えられます。
2 医師法との関係について
貴殿からのご質問は,「当該はりが「はり」ではなく無許可の「他者を傷つけるもの」とみなされた場合、そもそも医師法違反その他の違反が生じる可能性がでてくるのではないか。battlefield acupunctureは、取り外し不可能のはりなので,行政指導の対象となる可能性が極めて高いのではないか。」というものです。
そもそも,「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」は,第1条において「医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。」と規定しており,同条自体が医師法の特別法という関係にあります。
したがって,はり師免許を受けて,医業類似行為である「はり」を行うのは適法である一方,無免許・無届けの場合には医師法違反になります(当然の帰結ですが)。
おそらく,ご質問の趣旨は,昭和35年1月27日の最高裁判決を意識されてのことと存じます。同判決は,「法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならない」として,「医業類似行為」の意義を限定的に解釈しています。
この点,「当該はりが「はり」ではなく無許可の「他者を傷つけるもの」とみなされた場合」という前提自体に違和感がありますので(あくまで「はり」である以上,凶器のように解釈すること自体が不自然です),「人の健康に害を及ぼすおそれのあるもの」とされた場合という前提に考えたとしても,このような人の健康に害を及ぼすおそれのある医業類似行為が禁止されるのは,無免許・無届けで行う場合であって,はり師免許を受けた者であれば,適法であり,そのはりが置き鍼であるか否かにかかわらず(「battlefield acupunctureは、取り外し不可能のはり」という前提にも問題があると考えます),医師法違反の問題は生じないと考えます。
3 管理医療機器の登録との関係について
貴殿からのご質問は,「鍼灸師免許は管理医療機器の輸入や販売、管理に関連する免許ではないため,鍼灸師以外に登録する事業者が必要となるのではないか。」というものです。
厚生労働省のホームページによれば,「厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器、管理医療機器又は体外診断用医薬品(「指定高度管理医療機器等」という。)を製造販売する場合には、品目ごとに厚生労働大臣の登録を受けた者(「登録認証機関」)の認証(「第三者認証」)を受ける必要があります。」とあります。つまり,製造販売に関しては,この第三者認証が必要になると思いますが,battlefield acupunctureで使用する鍼を輸入する場合は,前述のとおり,厚生労働省が認める要件を遵守して,医療従事者が医薬品等を個人輸入する場合は,適法であると考えます。
以 上
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賠償責任保険の問題
過去に松浦がASP-Needleによる鍼施術では賠償責任保険が使用できないと、地位と名誉ある方に指摘された事があり、松浦でも不安に思う事があり確認が必要との結論に至り、当協会にて令和元年6月3日(月)に日本鍼灸師会・鍼灸師賠償責任保険(三井住友海上保険)へ問い合わせたところ、以下の様に返答を頂きました。
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令和元年6月4日(火)09:05 着信
三井住友海上保険、高崎総合保険金お支払いセンター
0273234620
張様より口頭で返答を頂きました。
「正規の手続きを踏み(、薬監証明を所得され)、輸入された鍼であればお支払いの対象となります。」
以上[/aside]
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ASP鍼の使用に関する書類等
当協会は会員の先生と患者様双方の利益確保の為に、双方が同意して誤解なく施術可能な環境づくりの為に、ASP鍼同意書、ASP 鍼の使用に関する説明書等をご用意しております。[/aside]