第30回 あマ指師、はり師きゅう師の国家試験から関係法規の問題を抜粋して、解答と解説を博士が行なっていきます。
ぜひ一緒に確認していきましょう!
あマ指師 問題から
問題11
あはき法で、あん摩マッサージ指圧師名簿の登録事項でないのはどれか
- 本籍地都道府県
- 氏名
- 性別
- 住所地
名簿の登録事項は、登録番号、登録年月日、本籍地都道府県(外国籍の場合は国籍)、氏名、生年月日、性別、試験に合格した年月です。現住所は記載されません。
問題12
東京都大田区に住む者が隣接する神奈川県川崎市に施術所を開設した。あはき法で必要な事項の届出先はどれか
- 東京都知事
- 大田区長
- 神奈川県知事
- 川崎市長
施術所の開設に許可は必要なく届出制です。開設から10日以内に施術所の所在地の都道府県知事に届け出ます。
これを担当しているのは保健所なので、実際には施術所の所在地を管轄する保健所へ届出書を提出します。
なお、施術所開設における届出事項は、開設者の氏名、開設者の住所、開設の年月日、施術所の名称、施術所の住所、業務の種類、業務に従事する施術者の氏名、設備の概要と平面図です。
問題13
あはき法で定められた施術所の臨検検査を拒んだ者に対する罰則はどれか
- 30万円以下の罰金
- 50万円以下の罰金
- 1年以下の懲役
- 免許の取消し
関係法規の出題では王道の『数字の暗記』が必要な出題です。
罰則について、最も重いものは「免許の取り消し」となりますが、これは資格要件の消極的要件(欠格事由)として覚えておきましょう。
罰金は「50万円以下」と「30万円以下」があります。
このうち「50万円以下の罰金」に該当するのは3つなので、この3つを優先的に覚えておき、出題を解く時には「50万円以下の罰金に該当するか、それ以外か」と考えるのが良いでしょう。
問題14
あん摩マッサージ指圧師免許がなくても病院または診療所でマッサージが
できるのはどれか
- 介護福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 柔道整復師
出題文を読んで「え!?」と思った時には、もう一度ゆっくりと読み返しましょう。
「マッサージができる」と問われると「マッサージを業として行える者」が頭に浮かぶと思います。しかし、この出題ではそれは問われていません。
この出題は「病院または診療所で」という表現を理解することが必要です。頭の中で「医師の指示のもと」のような補足語が浮かぶと正答に一気に近づくことでしょう。
はり師きゅう師 問題から
問題11
あはき法で、都道府県知事が施術者に対し、衛生上害を生ずるおそれがあると認める業務に関して必要な指示をするとき、その指示に関して意見を述べることができるのはどれか
- 地方厚生局長
- 市町村長
- 保健所長
- 医師の団体
出題文を1度読んだだけでは理解しづらいかも知れません。
出題文の「都道府県知事が」とあるのは「施術所を管轄する保健所が」と読み替えても良いでしょう。
保健所が「衛生上、害を生ずるおそれがある」と判断し、何か指示をしてきました。その判断の妥当性や指示の内容について意見を述べることができる人とは誰でしょう?という出題です。
問題12
あはき法における施術所の届出事項で、変更が必要でないのはどれか
- 出張による施術を開始した
- 業務に従事する施術者が変わった
- 施術室を広くした
- 開設者が変わった
オーソドックスな出題からひと捻りした出題です。
施術所を開設したら10日以内に届出を済ませなければならないことと開設届けの記載内容についてその全部を必ず覚えておきましょう。
届出書に自分が記載した内容について変更が生じれば、速やかに記載内容も変更しなければなりません。
開設時には、業務に従事する施術者、施術室の面積、開設者の氏名などを届出書に記載しなければなりません。
問題13
あはき法で、施術所について広告できるのはどれか
- パルス鍼
- やいと
- 認定鍼灸師
- 労災保険の適用
関係法規の出題では王道の『広告の制限』に関する出題です。広告制限については、広告できるものだけを暗記し、それ以外はすべて広告できないと判断します。
選択肢を確認していきましょう。業務の種類を表す「やいと」は広告可能ですが、流派や「パルス鍼」といった施術方法、施術内容は広告できません。
施術者であること(免許保有者であること)は広告できますが、施術者の技能を表す「認定鍼灸師」などの表現は広告できません。
医療保険療養費支給申請ができることは広告可能ですが、医師の同意が必要であることを必ず併記しておかなければなりません。そして、労災保険や自賠責保険などは含まれていないので『各種保険適用』などの表現は使用できません。
問題14
あはき法で定められている罰則で量刑が最も重いのはどれか
- はり師が消毒をせずに施術した
- 施術所の開設を届け出なかった
- 施術者が都道府県知事の指示に違反した
- 施術者が秘密保持義務に違反した
罰則について、我々にとって最も重い罰則は「免許の取り消し」でしょう。これは資格要件の消極的要件(欠格事由)として内容を覚えておきましょう。
罰金には「50万円以下」と「30万円以下」があり、「50万円以下の罰金」に該当する3つの内容(秘密保持の義務、免許の不正取得、医師以外の者による無免許あはき施術)を優先的に覚えましょう
罰金の出題では「50万円以下の罰金に該当するか、それ以外か」と考えるのが正答を導く近道だと思います。
選択肢を確認していきましょう。施術の患部を消毒することは義務として定められています。消毒義務を怠った場合の量刑は30万円以下の罰金となります。
施術所を開設した時や記載事項に変更が生じた時には届け出る義務があります。これを怠った時の量刑は30万円以下の罰金となります。
臨検検査等の指示や必要な報告の提出要請が都道府県知事から出された時、我々はそれに応じなければいけません。これに対し、虚偽の報告をしたり検査を拒否するなどした場合の量刑は30万円以下の罰金となります。
先に述べたとおり、秘密保持の義務を違反した場合の量刑は50万円以下の罰金となります。
博士の総評
関係法規の出題は4問です。4点満点を目指しましょう。
法律は簡単に変更できるものではないので、このジャンルの出題パターンはすべて出尽くしたという印象があります。過去問を使用して二重三重に復習しておけば確実に4点を取れるでしょう。
近年の国家試験問題では出題文に対する読解力も必要になってきている印象があります。
1度読んだだけでは理解しにくかったり、瞬間的に「え!?」と言いたくなるような出題に遭遇するかも知れません。
聞き方を変えているだけですから、落ち着いて出題に向き合うことで正答できると思います。
ご質問などはぜひコメント欄からお願い致します!